相続税による子供達への負担を考えています。生前贈与というものがあると聞きましたが、節税効果などはあるのでしょうか?
生前贈与は節税効果があります。ただし間違った方法で行うと逆に税金が高くなる場合もありますので専門家に相談しながら行うと良いでしょう。
相続税の負担を減らす対策として生前贈与があります。 生前贈与を計画的に行うことで相続税の負担を軽くすることもできますが、税制の仕組みがわかりづらいために間違った方法で行ってしまうと逆に高い税金を納める場合もありますので、税理士など専門家に相談しながら進めることをオススメします。
生前贈与とは?
生前贈与とは被相続人(遺産を残す人)が生前に贈与を活用し相続税対策を行うことをいいます。生前に遺産を子供や孫に贈与することで亡くなった際の相続財産を減らすことができ、節税対策につながります。
実は高い贈与税率
実際の相続税と贈与税の割合を表したのが下の表です。実は相続税より贈与税の税率が高くなっています。これは贈与を活用することで相続への不公平ができることを防ぐためにあえて税率を高くしているのです。
そのため、間違った方法で生前贈与を行うと贈与税がかかり、相続税よりも高い税金を支払うことになるので注意が必要です。
生前贈与を有効活用する方法
生前贈与を行う方法としてはいくつかありますが、節税対策として行われている効果的な方法をいくつかご紹介します。
暦年贈与で毎年100万円づつ贈与する
よく利用されている方法として 暦年贈与があります。 暦年贈与とは贈与税の基礎控除110万円を利用して毎年少しづつ贈与を行う方法です。贈与税は110万円以下であれば非課税です。
例えば150万円を生前贈与した場合、110万円を超える40万円に対してのみ10%の贈与税がかかり贈与税額は4万円となります。 毎年110万円を暦年贈与として10年続けることで1,000万円以上の遺産を減らすことができます。
ただし、何もせずに10年間お金を贈与するだけでは税務署に「連年贈与」を指摘されてしまいます。連年贈与とは最初から贈与を計画的に行う約束をした上での贈与であり 暦年贈与としては認めてもらえず高い税率が適用される場合があります。そのため、暦年贈与では毎年契約書を作成し、金額や贈与時期を変えるなどの工夫が必要になります。この辺りも制度が複雑ですので税理士などに相談の上進めていくのが無難です。
教育として贈与を行う教育資金一括贈与
子供や孫の教育資金として遺産を贈与する方法です。
教育資金として1,500万円までを非課税で贈与できます。子供へも贈与することは可能ですが一世代飛ばすことのできる孫への贈与が一般的であり、一括で多額の遺産を減らせますので相続税対策として有効です。方法としては信託銀行に専用の口座を作り教育資金として活用します。ただし30歳までに使いきれなかった場合には残額に対して贈与税がかかりますので注意が必要です。
子供や孫への住宅資金として贈与
子供や孫が住宅を新築、改築する資金として贈与する「住宅取得資金の贈与の特例」を利用します。
2021年3月末日までは省エネ住宅で1,500万円、2021年4月以降は1,200万円までを非課税で贈与することができます。 子供や孫が住宅を持つ際の資金提供はしっかりと申告することで大きな節税につながります。
子供や孫への結婚・子育て資金として贈与
子供や孫への結婚・子育て資金として1,000万円までを非課税で贈与することができる制度です。
子供や孫の年齢が20才〜50才までの場合に利用できます。こちらも教育資金同様に使いきれなかった場合には、残金に対して贈与税がかかりますので注意が必要です。
専門家に相談のうえ贈与を進めましょう
生前贈与にはその方法や対象者など細かな規定も設けられている場合がほとんどです。方法を間違うと高額な贈与税の対象となってしまう場合もありますので、税理士など専門家に相談のうえ進めることをオススメいたします。